顎顔面口腔育成治療
顎顔面口腔育成治療とは
「顎顔面口腔育成治療」(フェイシャルオーソトロピクス・自然成長誘導法)とは、英国の顎変形症を専門とする口腔外科医Dr. John Mewにより開発され、日本で発展している治療法です。「床矯正」やワイヤー矯正などの従来の標準的な矯正歯科治療(対症療法)とは大きく異なります。
2013年12月 東京・丸の内にてDr. John Mewから認定証を授与される。
歯並びの悪さを訴えて来院される方を検査すると、顎の骨の水平方向(前方)への成長が不足し、代わりに下方への成長量が増えてしまっているのです。 この現象を ダウングロース(バーティカルグロース・下方成長) と呼びます。 この異常な成長方向を修正し、顎顔面が本来あるべき位置に誘導していくことが 「顎顔面口腔育成治療」(原因療法)です。取り外し式の装置(バイオブロック)を、患者さんに合わせて製作・装着していくことで、この目標を達成します。顎の発育を正常にすることによって歯並びを自然にきれいに生え揃えることができます。顔面口腔育成治療では、咽頭部(空気の通り道・気道)を広くできる可能性が高く、「呼吸の改善」も見込まれます。当院では特に「舌の位置」(ポスチャー)と「呼吸」にこだわっています。
目指すべき成長方向を赤印で示す。
従来の床矯正治療との違いは?
歯を並べるスペースが少なく、歯並びが悪いということは単に顎の骨が小さいだけということではありません。
実際は『回転とひずみによって骨がたわんで萎縮している』のです。たわんだ骨をそのまま広げようとしても無理があります。一時的に広がっても、それは上半分の部分のみで、時間が経てば"後戻り"を起こしてしまいます。
床矯正治療……ひずんでしまった顎骨の上部半分のみを、歯を並べるために平面的に平行拡大していく2次元的な治療。治療効果が少ない反面、途中で止めても元に戻るので、広く普及している。
顎顔面口腔育成治療……顎の成長方向の異常を解決し、立体的に顎の発育を誘導していく。その結果として歯並びも良くなる治療。後戻りが少なく、治療効果が大きい。途中で止めることができない為、粘り強く物事に取り組む姿勢のあるお子さんに適応となる。「口を閉じること」と「舌の位置」(ポスチャー)と「呼吸」に着目している治療法である。
治療方法
顎顔面口腔育成治療ではバイオブロックと呼ばれる床装置と前方牽引装置を貸与して、口の中に装着します。
1. 上顎骨の拡大・再配置するためにバイオブロック ステージ1 (もしくは上顎骨前方牽引装置)と呼ばれる装置を使用します。上顎に舌がすっぽりと収まるスペース(舌房)を作ります。
バイオブロックステージ1を上顎に装着したところ
2. 下顎もバイオブロック ステージ1で前方、側方に拡大します。
3. 上下顎に舌が納まるスペースが確保できたならば、バイオブロック ステージ3を装着します。
このステージで「顎骨の異常な萎縮とひずみ」がとれてしっかりした咬合関係を獲得します。
バイオブロック ステージ3は「最も重要な治療段階」です。
4. その後、ステージ4に移行し、後戻りを防止します。
5. 経過状況によっては、針金とブレースを歯に装着する場合もあります。
治療開始年齢
絶対的適応年齢は6~7歳、当院では特例として小学校2年生の3月末日が最終受け入れ期限とさせていただきます。
当院におけるバイオブロック治療の特徴
- 静岡県で顎顔面口腔育成治療(バイオブロック治療)にいち早く取り組んだので、数多くの実績がある。
- 虫歯の予防・治療から標準的な矯正、インプラント、ホワイトニングまで、総合的計画を立てることができる。
- バイオブロック治療では原則的に永久歯の抜歯はしない。
- 経験豊富な歯科衛生士(国家資格)が多数在籍している。
日本人で4人しかいないマスター(熟達者)として完全登録された末竹和彦先生より
静岡県で最初の専門プログラムの修了証明書を授与されました。
以下に該当する場合は適応になりません。
- 数年以内に転勤や遠方への引っ越し予定がある。
- 当院への通院に要する時間がおおむね1時間以上ある。
- とにかく歯磨きする事が嫌い。
- お菓子、アイス、ジュースを週3回以上食べるのが習慣になっている。
- ご両親の都合や習い事により、次の診療のスケジュールが直前にならないと分からない。
- ストレスに弱く、粘り強く、最後までやり抜く力が不足している。
- 治療途中で一時的に顎の位置や歯並びが乱れることを受け入れられない。
- 歯並び治療は料金を払って装置を買うことだと勘違いしている。